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退屈じゃない「異邦人」

はじめまして、今日からブログをはじめます。
普段しているフランス語翻訳の勉強、といっても原書を読みながらあら捜しをするいろいろ考えてみる、といったことでしかないのですが、フランス語の表現のおもしろさを一緒に味わっていただければ幸いです。

さっそくカミュの「異邦人」の原書と窪田啓作の日本語訳の読み比べをしつつ、リアルタイムに気になった部分を抜き出していきます。冒頭からのスタートではなく、一部の第六章からなのですが、その前の部分はすでにこの作業を終わらせてしまったので(笑)、中途半端な始まりではありますが、興味のある方はおつきあいください。

まずは、主人公ムルソーが一緒に海に出かける悪友のレエモンのむき出しになった白い腕に毛が生えているのを見ての感想です。

J'en ėtait un peu dėgoûté.

それが少し、いやらしかった


dégoûtéは一般的にはいやらしいという表現よりは、気持ち悪いに近いのではないかと思うのですが、ちょっと大胆な訳ですね。(笑)

そして、そうとは気づかないご機嫌なレエモンはムルソーに挨拶します。

Salut、vieux

よぉ、とっつあん

この場合のvieuxは男性に向かって親しみを込めて、おまえという感じのニュアンスでしょうか。

一瞬、ルパン三世の銭形警部がよぎったのはわたしだけ?

vieuxという一言も相手によって、じぃさんおやじさんきみといろいろな年齢層に使い分けができるというわけです。でも、これ、くだけた言い方で、上品な言い方ではありませんので、あしからず。

さてさて、ムルソーの恋人であるマリィのレエモンへの態度はどうでしょうか、わたしが思うにマリィはフランス女性にしては気性の激しいところがなく、かなり、かわいい女性として描かれていると思うのですが。

しきりに冗談を言ってくるレエモンに対して・・・

De temps en temps, elle le regardait en riant.

時どき笑いながら彼を見つめるだけだった。

やっぱり、かわいい。

でも、この仏文フレーズのどこにも日本語のだけにあたる部分は存在せず、普通に訳すると

時どき笑いながら彼を見つめていた。

に、なるのですが、ここが翻訳者の腕のみせどころで、前後の状況から多少色をつけているようです。

ところでこの「異邦人」はこうやって日仏照らし合わせて読んでみると、日本語だけで読むより退屈じゃなくて、理解しやすく、むしろ自然なフランス語表現でいっぱいです。「フランス的思考」といえば大袈裟ですが、フランス人の精神構造に触れているようでとても興味深いです。

2005年06月06日 | 「異邦人」を読む | こめんと 0件 | とらば 1件 | とっぷ

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