スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

--年--月--日 | スポンサー広告 | とっぷ

それで事は終わる、と私は考えた

きのう、例の星の王子さまのプロジェクトの投稿ページで第4章の入力が完了したのは、締め切りの10分前! (汗)。
どきどきしました。間に合ってよかったです。

というわけで、やっと今日「異邦人」に入ります。ふう。

レエモンのピストルをポケットに入れたまま、ムルソーは長い間アラビア人と、午後の熱い浜辺でみつめあっています。

Le bruit des vagues était encore plus paresseux,plus étale qu'a midi.

波音は正午よりもっともの憂げで、もっとおだやかだった。

形容詞paresseuxは人に用いると無気力な、とか怠け者な、という意味になりますが、自然界のもの、例えば川などの後につけるとゆるやかなとかゆったりとしたという意味になります。日本語ではもの憂げな、というとアンニュイという言葉が思い浮かぶのですが、フランス語のennuiは主に退屈不安という意味で、人に対して使うとネガティブな意味になるのでご注意です。日本語ではけっこうおしゃれな感じがするのだけれど。
そしてétale という形容詞はおだやかという意味のほかに静止した変化がないという意味もあります。ムルソーを取り巻く世界が、まるで止まっているかのような描写が執拗に続きます。

Il y avait déjà deux heures que la journée n'avançait plus,deux heures qu'elle avait jeté l'ancre dans un océan de métal bouillant.

もう二時間も前から、日は進みをやめ、沸き立つ金属みたいな海のなかに、錨を投げていたのだ。

このフレーズは原文では二時間も、二時間もと繰り返しているのに比べて、日本語のほうがあっさりとまとめられています。
un océan de métal の部分は隠喩ですね。みたいなにあたるcommeなどは付いていませんが、そのまま金属のと訳すよりは自然になりますね。
jeter l'ancre 錨をあげるというのは、つまり腰をすえるっと動かないでいるという意味です。これでもかというくらい時間が静止しているという表現のオンパレードです。(笑)

そのとき、ムルソーが考えていたことはというと・・・

J'ai pensé que je n'avais qu'un demi-tour à faire et ce serait fini.
Mais toute une plage vibrante de soleil se pressait derrière moi.


自分が回れ右をしさえすれば、それで事は終わる、と私は考えたが、太陽の光に打ち震えている砂浜が、私のうしろに、せまっていた。

前回も書いたのですが、なんだかこのフレーズを読んでいると、人間であるムルソーより自然の風景の方が生命感にあふれているような印象を受けます。
せまっていたにあたる動詞se presser押し付ける圧迫する、といったところでしょうか。自分の意思とはうらはらに、焼け付く太陽にぐいぐい背中を押されているような感じが伝わってくる場面です。

もう、ムルソーは後ろに引き返せないのです。

2005年06月20日 | 「異邦人」を読む | こめんと 0件 | とらば 0件 | とっぷ

コメント

コメントの投稿



管理者にだけ見せる

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。