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結局、何も変わったことはなかったのだ

さて、「異邦人」を読みます。

このカテゴリーはカミュのフランス語の原文と、窪田啓作氏の日本語訳を同時に読み比べながら、わたしが気がついたことや面白いと思った部分を抜き出し、突っ込みを入れるという企画であります。
途中から読んでくれている方などで、わたしが訳していると思っている方がいるみたい(!?)なのですが、ここで扱っているのは新潮文庫の窪田さん訳なので、念のため~。


わたしが参照しているのはコチラの「異邦人」」です。

この他にも中村光夫さん訳の「異邦人」もあるそうで、コチラのほうはコメントをいつもくださるoomotさんが教えてくれました。カミュの全集だそうです。
わたしは窪田さん訳しか読んだことがないのですが、お話の印象から中村さん訳はやや古風な印象を持ってます。窪田さん訳は一見したところクールな感じもしますが、実はアクのある訳かな・・・と思っています。


今日は1部の2章の最後の部分です。今回はちょっと短めにいきましょうかね。

日曜日を家で退屈に過ごしているムルソーは、ベランダで外の様子を眺めています。別に面白いことが起きているわけでもないのに、午後から日が暮れるまで、ずっとそこにひとりたたずんでいるムルソーの心中とはどんなものなのでしょうか・・・

J'ai fermé mes fenêtres et en revenant j'ai vu dans la grace un bout de table où ma lampe à alcool voisinait avec des morceaux de pain.

窓ガラスをしめて、戻って来ると、机の端が鏡のなかに映っているのを見た。その上にはアルコール・ランプがパン切れと並んでいた。

ここでmes fenêtres窓ガラスと訳されているところにちょっと注目してみました。mesの部分は訳されていませんね。これは微妙な点ですが、日本語とフランス語の違いの上で興味深い事柄でもあります。忠実にこのmes fenêtresを日本語にしょうとすると、不自然ではない範囲で、わたしの(住んでいる)家の窓という訳も可能ですが、普通、日本語ではそんなことは暗黙の了解であって、わざわざ説明しませんよね。
わたしはフランス語がある意味、明晰な言葉だと感じるのは、このように日本語にないくらいのクドさがあるという点でしょうか。日本語は主語がなくてもフレーズか成立してしまうので、親しい仲などでは特に説明的な言い方をしませんよね。「あ・うんの呼吸」とでもいうのでしようか。逆に言うと説明不足になりがちな言語のような気がします。一方、フランス語はそんな日本語の感覚でいうとクドイ、濃厚な感じがします。フランス語を日本語にするときは、もとの文よりあっさりと感じられ、逆に日本語をフランス語にしてみたら、もとのものより濃い感じがしてしまうのは、そういうこともあるからなのでしょうね。
わたしは帰国してから、いまだに普段、会話をしていて、相手のいわんとすることがわからない~と思うことがあります。推理が必要なのか!?と思ってみたりもします。特に日本語の会話は肯定しているのか否定しているのかはっきりとわからないことが多いです。フランスではそういう点は楽でした。

ま、こういう話をしだすと、きりがないので次に進みましょう(笑)。

J'ai pensé que c'était toujours un dimanche de tiré, que mamam était maintenant enterrée, que j'aillais reprendre mon travail et que, somme toute, il n'y avait rien de changé.

日曜日もやれやれ終わった。ママンはもう埋められてしまった。また私は勤めにかえるだろう。結局、何も変わったことはなかったのだ、と私は考えた。

ここはなんだかやるせない部分ですね。
ここのmaintenantは、もうと訳されていますね。この副詞は過去形と共に使われると、今や今では、といったニュアンスになります。同様に未来形と一緒に使われると、今後はこれからはといった意味になります。ここでは、もちろん前者ですね。

いやぁ、それにしても「やるせない」といえば、さっき、「GyAO」で久しぶりにパトリス・ルコントの「髪結いの亭主」観たら、まぁ涙、涙でした~。
最初(もうだいぶ前)観たときは、この映画のテーマは「官能と死か!?」とか「あのオジサンにはもったいない美人妻だわ☆」なんてアホみたいなことばっか考えたものだが、今回はまぁ、冒頭からノルマンディーの海のトーンにやられました。懐かしい海の色でしたわ。
最後のほうで妻のマチルドがドアのところで「人生って嫌ね」(la vie est dégulasse)と呟いて、それから唐突に「買い物にいくわ」と言って土砂降りの雨の中を駆け出していって川に飛び込むところなど、前にも観たのに「なぜー???」って叫びそうになるわ。ホント。。。
ジャン・ロシュフォールの踊りといい(彼は若い頃より、年とってからいい味が出てますね~)、マイケル・ナイマンの音楽といい、映像のゆるやかさといい、いいものを観ました。あのお店もかわいいし、小さな街並みもよいですね。

今月は他にもフランス映画では「アメリ」でおなじみのA・トトゥの「エステサロンヴィーナス・ビューティ」とエマニェル・ベアールの「かげろう」も観ようと思ってます。
CMがなければもっといいのになーと思うけど、ま、タダなので、登録がまだの方はどうぞ。

あと、お勧めなのはライフ&カルチャーの「独占取材・パリ三ツ星シェフは語る」も、おパリの空気が感じられていいんじゃないかしら☆
コチラから
字幕スーパーが、饒舌な彼らの語りをカバーしきれていないような気もするけど。←(遅いってことか!?)
フランスの味のあるオジサン好きな人は必見よ♪ 生きているうちにはあのうちの一軒で食べてみたいわ。ホント。。。「ルドワイヤン」は前を通りかかったときに写真を撮ってましたが、ホント敷居が高そうだ。でもシェフはかわいいオジサンだし、店内もゆったりしていてステキだと思ったわ♪

映画はホント、リスニングや表現のお勉強になります。ひとり突っ込みをしてしまいますが★

・・・なんだか、GyAOの宣伝みたいになってしまいましたね、今回は(笑)。

それにしても、この「異邦人」にしても、さっきの「髪結いの亭主」にしても「生にたいする執着」がないところが、かえって美しく思えるのはなぜかしら・・・。そういうのって非常に「ラテンっぽい」とわたしは勝手に思っているのですが。過去も未来も一瞬に溶け合っているような感覚、そして漂うゆるーい空気感。ある意味、究極だわね。
ジャン・ロシュフォールの「少年・オジサン」ぶりというか、なんていうんでしょ☆ また、この映画観ると思います。。。わたし。

2006年01月06日 | 「異邦人」を読む | こめんと 13件 | とらば 0件 | とっぷ

コメント

窓ガラス

シャルロット様。
あけましておめでとうございます。

いやー、面白いですね。「窓ガラス」という訳。今、フランス・コロニアル様式のアパルトマンに住んでいます。ベランダへの「窓」は両開きの格子戸で外開き、内側には格子の無い「扉」が内開きついています。というわけで、ガラスは無いんですよね。ベランダへ出るmes fenêtres だと、私はこういう「窓」扉を思い浮かべてしまいました。映画ではどんなだったですかねえ。

2006年01月07日 / MOI #-URL【編集

古風な訳

私の読んでいる中村さん訳は、『異邦人・シーシュポスの神話-カミュ全集2』(佐藤朔・高畠正明編、新潮社、1972年)に収録されています。
『カミュ I-新潮世界文学48』(新潮社、1968年)にも入っています。付録についている「月報」に倉橋由美子さんが「異邦人の読んだ『異邦人』」という文章を寄せています。

中村さん訳、たしかに、古風な感じはありますね。今回のところも、

ma lampe à alcool:アルコール焜炉(こんろ)

“私の~”というのは、Le Petit Prince のときにも、どう訳すか悩んだところですね~(すでに遠い記憶に…)。mon moteur とか ma panne とか。
この記事の部分も原文で読むと、「私のこころの窓」「私のこころのランプ」みたいに読んでしまいました。

「髪結いの亭主」は、邦題がうまいです。「理容師の夫」では、ダメでしょう。
“ダメなおっさんに美人妻”は、この手の(どんなだ?)フランスやイタリア映画の定石のような感じもします。そうじゃないと、観てもらえないような。ロシュフォールのアラブの(?)踊りも変すぎ。(笑)

2006年01月07日 / oomot #aIcUnOeoURL【編集

MOIさんへ

あけましておめでとうございます!

確かに建築上、その国に行ったことがないと想像もできない世界ですよね。日本語でさらっと読んで、見過ごしてしまいそうですが。

フランスでは、パリでよく目にするアンティークっぽい質感のガラスが好きでした。
ニースでは雨戸みたいな扉が付いていて、それが部分的に外側に開くのを最初にホテルで発見したとき、面白いなーと思いました。地方ごとにいろんな窓があって。

わたしもここの部分、なぜ「ガラス窓」なんだろう?って思いました。普通に「窓」じゃないところなど気になりますね。

映画は観てないです☆ こういう微妙な部分、気になります~。

2006年01月07日 / しゃるろっと #-URL【編集

oomotさんへ

いやぁ、いつも大雑把なわたくしに、いろいろな情報ありがとうございます!

倉橋由美子さんは、窪田啓作氏の文体の影響を受けているらしきことを聞いた事があるのですが、確かに初期の作品を読んだときに似たような匂いを感じました。わたしとしては好きな文章の感じです。

「髪結いの亭主」はうまい邦題ですね。観てて、髪結ってないじゃん☆とか最初、思いましたけど(笑)。それにしてもパトリス・ルコントの映画は観やすいなぁ。また、いろいろ観たくなりました。

遠い記憶のLe petit prince、「あとがき」発表されてましたよー。みみずくさん、王子さま賞なのに、王さま賞になっちゃってます(笑)。師匠、さすがよ★
oomotさんも優秀作品です!

2006年01月07日 / しゃるろっと #-URL【編集

しゃるろっとさんへ

いやぁ、しゃるろっとさんのブログのおかげで、フランス文学や翻訳関係をいろいろ読み返したり、調べなおすきっかけをいただいております。

倉橋さんのその文章に、窪田さん訳の文体から影響を受けたことが書いてあります。
窪田さん訳で『異邦人』を読んだ後で、大学生のとき、原書を読む授業で、訳をこころみたそうですが、学生が窪田さん訳を「参照しながら」訳すと、担当教授(K教授とあります)に「それは誰の訳だ」と言われたそうです。

あら、「あとがき」の結果、知らないうちにひっそりと更新。来週かと思ってましたよ。(笑)
みみずく師匠、おめでとうございます! さすがです!(平伏)
もしかしたら、師匠は、このコンテストで“なんちゃら賞”の最多受賞訳者では?

映画は、ひさしぶりに、エリック・ロメール監督のをみたいですねー。

2006年01月07日 / oomot #aIcUnOeoURL【編集

oomotさんへ

映画の方は、「エステサロンヴィーナス・ビューティ」も「かげろう」もなんだかノレなかったので、途中でやめちまいました。やはり、まったりした映画しか受け付けないのか!?

ロメール、わたしも久々に観たいですねー。

みみずく師匠、今回も冴え渡っていましたね★

これで、終わりなのか!?

2006年01月07日 / しゃるろっと #-URL【編集

お得情報ありがとです!

GyAO、初めて知りました!
いいですね~!
無料に目が無い私♪
早速登録をば…
やっぱり今回の記事はGyAOの宣伝になっちゃった!?(笑)
そして少なくとも会員一人ゲットしましたよ(笑)

2006年01月08日 / ami #nD4vuAl2URL編集

amiさんへ

GyAO、やっぱ無料はいいですよねー。CMうるさい気もするけど、映画などいろいろやってるし、動物のやつとかボンヤリ観ちゃいますね(笑)。
前、「アメリ」やってたのを知って、なんだーDVDをレンタルしちゃったよー☆って残念がったケチなわたしです。

プログラムもゆったりしてるから映画も何度か観れたりして、お得だとおもいます☆

2006年01月08日 / しゃるろっと #-URL【編集

しょんぼり…

しゃるろっとさんからいい情報ゲットしたぜ!
と思いながら早速GyAOのサイトへ行ってみましたが、何故か見れませんでした(号泣)
PLAYボタンを何度押しても先に進まないのです…
…って、ここで相談してもしょうがないけど(笑)
あれを見ようこれも見ようと、
計画だけしてワクワクしてたので、
ガックリ度が大きかったです(笑)

2006年01月11日 / ami #nD4vuAl2URL編集

反応が・・・

あれー、どうしてだろう???

GyAOのPLAYボタンのところまで行き着くのなら観れるはず。わたしの場合もボタンを押してからジーっと待ってから始まるので、反応が遅いだけだと思うのですが。。。

またやってみたらスンナリ観れたりして(笑)。

2006年01月11日 / しゃるろっと #-URL【編集

amiさんへ再び

今、わたしもGyAO行ったけど、観れないわー★

いつもはちゃんと観れるんだけどなぁ。PLAYのあとGyAOのちょっとしたCMが出た後、シーンとしてるわ(笑)。

回線が混んでいるとか? なんでしょうね☆

2006年01月11日 / しゃるろっと #-URL【編集

力尽きました(泣)

何度もあれやこれやと頑張ってみましたが、
どうにもこうにもダメでした~

STARTボタンを押しても、一番下に
「ページでエラーが発生しました」
って出て先に進まないんですよね…
…って、またここで相談してますけども(笑)
気にしてくださってありがとでした。

しゃるろっとさんの記事をみて、
「髪結いの亭主」に挑戦したかったんだけどな…
もうしょうがないので素直にレンタルします(笑)

2006年01月12日 / ami #nD4vuAl2URL編集

今日やってみたら・・・

普通に観れました☆

地域によっては繋がりにくい日があるみたいです。ひょっとして登録手続きから観れるようになるまで時間がかかるとか?

「髪結いの亭主」、GyAOで終わっちゃいましたか。ひょっとして。。。残念っ。

ま、レンタルでロシュフォールの変な踊り★観てね。

2006年01月13日 / しゃるろっと #-URL【編集

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