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怪訳・ゲンズブール?

魅力的な訳ってどんなかな? と考えるときにすぐ浮かぶのは、一連のゲンズブールの曲の対訳をされた鳥取絹子さん。

フランス語を長く勉強すればするほど、思うのはフランス語を日本語に正しく訳するということ自体が無理なのでは? という諦めにも近い感覚。どこまでが意訳で、どこからが誤訳なのか? 

長崎外国語大学教授・戸口民也さんのサイトの「翻訳者は裏切り者?」というエッセイの最初の部分に次のような言葉があります。

百パーセント完璧に言葉をうつしかえることは不可能である。なかでも詩は最悪だ。ご存じのように、一篇の詩と相対するとき、私たちは、その詩を形づくっている言葉の意味だけではなく(あるいは意味以上に)言葉のもつ音や響きやリズムも重要な要素として味わう。ところが音とか響きとかはまさに翻訳しようがないのである。だから「裏切り」の度合も、詩の翻訳のときが最もひどくなるわけである。

確かに、詩の翻訳は難しい。リズムを生かすために原文を捻じ曲げている部分もあるかもしれない。それでも魅力的な作品にするためには遊び心や大胆さもあったほうがいいかもしれない・・・

そこで、今日読み比べてみるのはゲンズブールの1958年の「リラの門の切符切り」の歌詞。これは歌手としてのゲンズブールのデビュー曲でもあります。

試聴はコチラのDisque : 1の1番からドウゾ

3年くらい前に放送されたNHKラジオ・フランス語講座のテキストでみた京都大学教授の松島征さんの訳と、CDの歌詞カードの鳥取絹子さんの訳でやってみます。

最初のこの色は松島さん訳、次のこの色は鳥取さん訳です。Gô!
       
J'suis l'poinçonneur des Lilas

ぼくはリラ駅の切符切り
オレはリラの門の切符切り。

Le gars qu'on croise et qu'on n'regarde pas

人はぼくとすれちがっても ぼくを見はしない
人の波が交差し、みんな何もみてやしない。

Y'a pas d'soleil sous la terre

地面の下に太陽の光はない
地下だから、太陽はない。

Drôle de croisière

へんてこな周遊の旅
妙な旅行、サ。

Pour tuer l'ennnui j'ai dans ma veste
Les extraits du Reader Digest

ぼくは退屈をまぎらすため ジャケットに リーダーズ・ダイジェストの抜粋をもっている
退屈しのぎに、オレは上着のポケットに、リーダー・ダイジェストの抜粋を持っている。

Et dans c'bouquin y a écrit
Que des gars s'la coulent douce à Miami

そして この雑誌には書かれている マイアミで安逸な生活をしている連中のことが
その記事によると、人はマイアミでのんびり暮らしているそうだ。

Pendant c'temps que je fais l'zouave
Au fond d'la cave

一方 ぼくのほうはくだらない仕事をしている 穴蔵の奥底で
その間、オレは地下の穴倉で、から威張り。

Paraît qu'y a pas d'sot métier
Moi j'fais des trous dans des billets

職業に貴賎はないとは言うものの ぼくは切符に穴をあける
職業に貴賎は無いそうだが、オレは切符に穴をあけている。

J'fais des trous, des p'tits trous, encor des p'tits trous

ぼくは穴をあける 小さな穴を また小さな穴を
穴をあける、穴、アナ、あな。

Des p'tits trous, des p'tits trous, toujours des p'tits trous

小さな穴 小さな穴 いつもいつも小さな穴を
それも小っちゃい穴、ふぅ、いつもいつも小っちゃな穴。

Des trous d'seconde classe
Des trous d'première classe

二等車の小さな穴を 一等車の小さな穴を
2等車の穴。1等車の穴。

J'fais des trous, des p'tits trous, encor des p'tits trous
Des p'tits trous, des p'tits trous, toujours des p'tits trous...

ぼくは穴をあける 小さな穴を また小さな穴を 小さな穴 小さな穴 いつもいつも小さな穴を・・・
穴をあける、穴、アナ、あな。それも小っちゃい穴、フン、いつもいつも小っちゃい穴。小っちゃい穴、小っちゃい穴、小っちゃい穴、小っちゃい穴。

        
           ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


ちょっと長いので一番の部分だけにしてみましたが、どうでしょう?
二つの訳、だいぶイメージが違うとは思いませんか?

松島さんの訳のほうが原文に忠実だし、当時の30歳そこそこのゲンズブールのキャラクターや50年代の古典的なシャンソンの詩にふさわしい言葉づかいをしているのですが、魅力という点では鳥取さんの訳、確かに「意訳!?」と思われる部分や、なにか思わせぶりな怪しい表現などもあるのですが、リズムが感じられ聴くものを惹きこむような詩に仕上がっているではありませんか。
日本におけるゲンズブールのイメージを決定づけたのも彼女の歌詞カードの対訳の役割が非常に大きかったのではないかと思います。鳥取さんは他にジェーン・バーキンやフランス・ギャルなどゲンズブールが手がけた女性シンガーの曲の対訳もされていますが、想像力をかきたててくれるような、濃厚なゲンズブールの世界をつくりだしたまさに影の功績者ではないかと思います。

わたしがゲンズブールの曲を好きだなー、面白いなーと思うのも、やはり鳥取さんの対訳のおかげだと思います。今日、例に出してみた部分はそのほんの一部でしかないのですが、正確な訳が必ずしもいいというわけではないという、ひとつの例になるのではないかと思います。
両者で解釈が微妙に違う部分などもあり、特に二番のほうが大胆な訳になっているような気もするのですが・・・まぁ、ここではほんのイントロダクションで終わらせていただきます☆

2006年01月19日 | つぶやき | こめんと 17件 | とらば 1件 | とっぷ

コメント

ゲンズブールは、よく知らないんですが、凄く有名みたいですね。フランス語講座で以前紹介してました。フランスギャルは、すきですね~。訳し方について考えたこともなかったですが、正確に訳すって、私も無理だと思ってます。だって、ない言葉もあるし。。。文化が違うと感覚も違うから・・・

2006年01月20日 / Mii #uszzu23EURL【編集

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2006年01月20日 / #【編集

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2006年01月20日 / #【編集

楽しめた、サ!

鳥取絹子さんの名訳、最高ですね。特に
「 妙な旅行、サ」の「サ」
「それも小っちゃい穴、ふぅ、いつもいつも小っちゃな穴。」の「ふぅ」。翻訳された歌詞を見て、これだけ楽しめたのは初めてかもしれません。

こんな風に日本語訳を2つ並べてみると、フランス語翻訳の上級編お勉強になりますね。

2006年01月20日 / オルサ #-URL編集

日本語バージョン

この曲、サエキけんぞうが日本語でカバーしてて、<a href="http://www.saekingdom.com/index.html">公式サイト</a>で試聴できますよ。(CD,DVDコーナーの「スシ頭の男」というアルバムのところです)鳥取さんの訳をベースにしてるんでしょうか、「ちっちゃいあ~な ちっちゃいあ~な」って歌ってます。以前、直訳ロックというのがありましたが、直訳フレンチポップスも面白そう。しゃるろっとさん、訳してくれませんか?

2006年01月20日 / vendredi13 #-URL【編集

失敗

タグ使えないんですね。しかも、うまくリンクできてないので、URLをコピペしてとんでみてください。ごめんなさい。

2006年01月20日 / vendredi13 #-URL【編集

Miiさんへ

そうですねー、感覚の違いとかいろいろありますものね。
フランス・ギャルはお好きですか? 独特の世界ですよね。
わたしは最初、古いゲンズブールを聴いたとき「なんだ、こりゃ!?」って思ったのですが、だんだん好きになっていきました(笑)。
いまでは空気のようです~☆

2006年01月20日 / しゃるろっと #-URL【編集

鍵コメさんへ(笑)

おもしろいです! そして、ドジですねー☆2度も。

カギコメにするのはもったいない名訳じゃないですか! 表にでてきてっ! ←また打つのが面倒かな? 芸を感じましたよっ。

2006年01月20日 / しゃるろっと #-URL【編集

オルサさんへ

鳥取さんの訳、ほんとハジケた言葉が多くて、実は、この曲も二番になるとさらに、両者の解釈の違いや、鳥取さんのフザケた感じが強くなって面白いのです。
うーん、二番もアップしてみようかな←調子にのったりして♪

ふぅ、とかフンとか、キャラ作りに余念がないですよね(笑)。あと日本語のひらがなやカタカナでも遊んでいる感じで、リズムにのってるし、素晴らしいです!

2006年01月20日 / しゃるろっと #-URL【編集

vendredi13さんへ

そうですね。日本のゲンズブール・フリークといえばサエキけんぞうを忘れてはいけませんでしたね☆

昔、「電車でGo」とか歌ってましたね(笑)。

vendredi13さんの貼り付けたのコチラですよね。

http://www.saekingdom.com/cd/index.html

相変わらずのお歌でしたね☆

そういえばゲンズブールのトリュピュートの日本語版でもサエキさんやってましたね。南果歩とかエポなども。ありましたね。

サエキさん、こんなオフレンチなサイトも。
試聴もいろいろできます。ご存知でしたか?

http://www.jla.co.jp/amusement/html/cd4.html

直訳フレンチは対訳の面白いのがあったなー、ちょっと後で、見つけてまたコメントしますね。

2006年01月21日 / しゃるろっと #-URL【編集

見つけました。

こちらのサイトの左の目次の「失敗曲とミュージック」その1 をみてください♪

こちらのサイト、わたしの笑いのツボなんですが・・・

http://www.geocities.jp/mmepilot75/photos.htm

しょーもなかったら、スミマセン(笑)。

2006年01月21日 / しゃるろっと #-URL【編集

最高ですね

失敗曲とミュージック、笑いましたよー。そもそも海外の歌って、歌詞のテーマ自体が日本のポップスでは考えられないようなものがあったりしますよね。こういうのを原語で聴いて笑えるくらい、フランス語が上達したらいいんですけどねぇ。

それにしても、さすがしゃるろっとさん、何でもご存知ですね。私はサエキがゲンズブールフリークとして有名だとは知りませんでした。「リラの門」のカバーは、少し前にたまたま辿りついて記憶に残っていたので、タイムリーだなぁと思ってコメントしてみたのです♪

2006年01月21日 / vendredi13 #-URL【編集

vendredi13さんへ

いやぁー、でもvendredi13さんって、フランス語はじめられたばかりですよね!?
それで、王子のあの翻訳はおみごとでしたよ!
ポップスの歌詞は学校で習わないような言葉が多くて、リアルタイムではわからないことが多いですね~。

それにしても、サエキけんぞう氏がブログをやっているとは知りませんでした。なかなか怪しいですなぁ(笑)。

2006年01月22日 / しゃるろっと #-URL【編集

裏切りの翻訳

鍵コメです…。(笑) 昨日はすみません…。マウスの調子が悪かったみたいです(分解して調整しました)。

ポップスやロックの対訳は、裏切りがものすごく多いと思います。もともとの原詞の聞き取りが間違っていたり、かなりできる訳者の方でさえ誤訳していることがありますから。

直訳ロックは、王様(芸名)でしたっけ? ディープパープルの事務所があの歌詞でカヴァーを許したうんぬんという雑誌か、なにかの記事を読んで、大笑いした記憶があります。(どうやって説明をしたんだ?)

昨日、コメントしたやつ、また入れます。じつは、あんまり考えていない訳(汗)。
ツボは、星王子の訳でつかえなかった“オイラ”をつかったところですか。(苦笑)
みみずく師匠の訳とか、ほかの皆さんの訳もみてみたいところですね。(って、ここでコンテストかい? 笑)

* * *

オイラは、リラ門駅の検札員
すれ違うやつらに、見向きもされず
やっぱ、太陽、地下には射さず
ぐるりぐりぐり、ぐるぐるめぐり
退屈しのぎに、上着には
「リーダーズダイジェスト」のダイジェスト
そしたら、その本に載っていた
やつら、のんきにマイアミ暮らし
オイラは、どん底バカ丸出し
職業に貴賎なしとはいうものの
オイラは、切符に穴開ける
オイラ、開けます、プチッと穴を、もひとつ、プチッと
で、プチッと、で、プチッと、いつも、プチッと
穴を開けます、自由席
穴を開けます、指定席
オイラ、開けます、プチッと穴を、もひとつ、プチッと
で、プチッと、で、プチッと、いつも、プチッと…

2006年01月22日 / oomot #aIcUnOeoURL【編集

ようこそ~♪

「で、プチッと」って「Des p'tits trous」!?

空耳にゃ~~~☆

「ぐるりぐりぐり」@

「オイラは、どん底バカ丸出し」って、どこからやってきたの!? oomotオリジナル☆

でも「で、プチッと」って、すごいね。ちょっと衝撃的だわっ。

調子に乗って二番もアップしてしまった。校正ミスが普通にあってびっくら☆
フランス語の原文も歌詞カードは怪しい気がしました。NHKのテキストを参照したので、じっくり見てませんが。。。よくミスを見つけます。。。

「王さま」、いましたね♪ お笑い芸人かと思いました。最初。。。

みみずく師匠の訳と鳥取さんの歌詞カードがなんとなくダブって感じたのはわたしだけでしょうか(爆)。やっぱり好きなタイプだったのね♪

2006年01月22日 / しゃるろっと #-URL【編集

そら訳?

「で、プチッと」というのは、じつは、モト技(芸?)があります。(笑) 記憶が薄れているのですが、むかしみたティム・バートン監督の「ビートルジュース」(だったと思います?)のなかで、出演者たちがハリー・ベラホンテの曲「バナナボード」で踊る場面があるのですが、曲の字幕がこういう感じの“そら訳”(?)でした。
そちらは、字幕と元のセリフの意味が全然あっていないんですけれど。(笑) まあ、全編、ふざけた字幕だったので、字幕で笑った記憶があります。

「オイラは、どん底バカ丸出し」は、元の文の意味をいちおー汲んでおります。どん底が“Au fond d'la cave”で、バカ丸出しが“je fais l'zouave”です。歌詞なので、訳しても無理やり韻をふませてみました。(場所がちがうけど、苦笑)

2006年01月22日 / oomot #aIcUnOeoURL【編集

oomotさんへ

ビートルジュース、昔観ました~。そうです。ふざけてましたね、字幕。

そら耳っぽい訳、面白いと思います。なるほど、その手があったか☆

なんか、キャラ設定など微妙なところで遊べるのね。ううむ。しばらくこの曲が頭から離れませんね。。。

2006年01月22日 / しゃるろっと #-URL【編集

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