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同族みたいな様子

「異邦人」を読みます。今日はムルソーと同僚のエマニュエルが、お昼を食べにいきつけのセレストの店に着いたところからです。

セレストはムルソーに声をかけます・・・

Il m'a demandé si 《 ça allait quand même 》.

「どうにかいってるかね」と彼は私に尋ねた。

ここで使われている動詞のaller行くという意味だと最初に習うものですが、本当にいろいろな意味があります。ここでのaller生活するやっていく、といったニュアンスかな。
この動詞+son cheminで、わが道を行くという意味になるそうです。

その問いに対して、ムルソーは・・・

Je lui ai dit que oui et que j'avais faim.

私はうんといい、腹がへったといった。

セレストはお母さんを亡くしたムルソーに気をつかったのだと思うのですが、肝心のムルソーはそっけなく答えて急いで食事を終えます。彼にとってこの場面は印象に薄いのか、忙しく時間が過ぎていくような描写が続きます・・・

J'ai mangé très vite et j'ai pris du café. Puis je suis rentré chez moi, j'ai dormi un peu parce que j'avais trop bu de vin et,en me réveillant, j'ai eu envie de fumer.

私はいそいで食べ、コーヒーを飲んだ。それから、自分の部屋へ帰った。ブドウ酒を飲み過ぎたので、少し眠った。眼がさめると煙草がほしかった。

たたみかけるような文章ですが、なにか自分も仏作文の練習にと書いた日記もこんな感じだったような(笑)。
ムルソーにとってはいつもと同じような日常のひとこまが、淡々とあわただしく過ぎていく感じなのでしょうね。こんな感じで職場に戻り、その日の午後の仕事の描写も淡々としたものです・・・

J'ai travaillé tout l'après-midi. Il faisait très chaud dans le bureau et le soir, en sortant, j'ai été heureux de revenir en marchant lentement le long des quais.

私は午後ずっと働いた。事務所では大層暑かった。夕方、表へ出て、岸に沿ってゆっくりと帰るのが愉しかった。

ここで愉しいと訳されているheureux+de+原型は仏和を引くと~でうれしい~を喜んでいるといった訳語が載っていますが、この場合の愉しいという感じ、heureuxを用いることによって、ほのぼのとした雰囲気が伝わってきますね・・・

Le ciel était vert, je me sentais content.

空が緑で、愉快に感じた。

空が緑?
これは仏和を引くと、形容詞のvert緑色のほかに青いという意味が載っていました(笑)。青ざめたという意味で顔色が悪いときなどにも使えるのだそうです。そのほかにも顔色が蒼白といいたときには、もちろん、という意味のbleuも使えますし、blancも同様に使えます。
この空が緑で、愉快に感じた。というフレーズは感じが掴みにくいような・・・ムルソー、イっちゃってるみたいじゃないか!?

さてさて自分のアパートに着いたムルソーは、階段で隣人のサラマノ老人に出会います。老人が連れている皮膚病にかかったスパニエル犬と、その犬にそっくりな老人のことをムルソーはこうたとえています・・・

Ils ont l'air de la même race et pourtant ils se détestent.

彼らは同族みたいな様子だか、互いに憎み合っている。

このraceという名詞は、人種民族といった意味から、一族家系、それから種類品種仲間にいたるまで広い意味がありますが、特に人種についていう場合は、差別的なニュアンスを含むことがあるそうなので、使わないほうが無難かもしれません。

ところで、今日も窪田啓介氏の訳でひととおり読み比べてみましたが、以前から気になっている中村光夫さん訳のほう、まだ読んでないのですが、このかた著作多数ですねー。
どうも、この雪の中、てくてくと図書館まで歩いていくパワーのないわたくしをお許しください☆ 
さよならーっ。

2006年01月29日 | 「異邦人」を読む | こめんと 10件 | とらば 0件 | とっぷ

コメント

「vertに緑色のほかに青いという意味もある」という箇所を読んで、かつて日本でも、青信号といいながら実際には緑色だった信号を思い出しました。海の色が場所によって紺碧だったりエメラルドグリーンだったりするように、青と緑って区別しにくい色ですよね。

2006年01月30日 / オルサ #-URL編集

信号

なるほど。信号の青って、確かに緑ですねー。この記事を書きながら疑問だったのは「顔が青白い」というとき、3色も使えるけど、どう区別するのかなー、微妙なニュアンスがいまいち不明です。どれでも似たようなものなんでしょうかね? 感覚で決める?

ちなみに、バラ色・ピンク(rose)は「顔色がいい」とき、rouge(赤)は「赤面する」ときで、こっちはわかりやすいんだけど。。。

この小説で「vert」を空で使ったのは、清々しい感じを出すためかな。。。とも思いました。

2006年01月31日 / しゃるろっと #-URL【編集

Vert に青いという意味があるなんて、しりませんでした。(知らないことだらけだけど、緑くらいはね~)本当に言葉って、奥が深いですね。

2006年02月01日 / Mii #uszzu23EURL【編集

雰囲気的に

考えてみたら、日本語でも「草木が青々としていた」っていう表現があるから、なるほどーって感心しました。感覚的に近い点もあるのね、日本語とフランス語。

地味だけど、おもしろい発見ですね☆

2006年02月01日 / しゃるろっと #-URL【編集

Chez madame Chabaud

翻訳の趣旨とは関係ないんですが、こういうセレストが迎えてくれるような雰囲気の「飯屋」がいいですね。カミュもこういう店が好きだったんだ、という気がします。ダカールで捜しているのですが、なかなか無いんです。マダガスカルのマジャンガという田舎街には、Chez madame Chabaudという店があって、セレストのようにシャボー夫人が迎えてくれたものです。単身の男の話でした。

ところで、以前お尋ねした詩は、「地獄の季節」の最終項にありました。ダカールで、folio判を手に入れて確認しました。ありがとうございます。

2006年02月06日 / Moi #-URL【編集

Moiさんへ

セレスト、この小説に出てくる男性の中では唯一の「奇妙ではない人物」かもしれませんね。
ダガールは結構大きな町なのでしょうか? セレストの店は小さな町や下町にあるお店という雰囲気ですね。小説の中では「場末」と表現されていますが。そうですか、なかなか貴重な飯屋かもしれませんね。

「地獄の季節」やランボーの詩は(古典の詩は全てですが)、難しいというイメージがあります。でもフランス語で読むとまた全然違うんだろうな。J・プレヴェールのfolio版をずーっと前に買って、ほとんど手をつけてません、わたしは(笑)。

お尋ねされた部分は有名なフレーズらしくて、ネットで引用している方もみました。ご丁寧にありがとうございました。

2006年02月06日 / しゃるろっと #-URL【編集

男性だったの?

セレストは、女性のイメージでした。これだから、ネットは怖いですね。まあ、おじさんが迎えてくれる飯屋でもいいか。

ランボー、拾い読みしていますが、やっぱり10代に書いているので、はしばしに瑞々しさが感じられます。有名な「永遠」もありました。ゴタールの「狂いピエロ」のendingで、地中海を背景に男と女の声で朗読されますね。

2006年02月06日 / MOI #-URL【編集

おやっ

セレストを女性だと思われていましたかー。
穏やかで聞き上手なマスターっぽいイメージをわたしは持っていました。

ランボーについては調べ物がてらにいろいろ書きたくなってきました。初期のゴダールの登場人物の破滅的な感じと、ランボーの詩の世界が合うんでしょうかね。両方、瑞々しく感じます。

MOIさんのブログのほうでコメントされていたミュージシャンは小椋佳では(笑)。たぶん。

2006年02月06日 / しゃるろっと #-URL【編集

物覚えがーー

そうそう、小椋桂でした。ランボーとか、先にコメントされていたジャック プレベールとか、詩がいいなあ。ゲインズブールも良かったですけど。
期待してます。

2006年02月07日 / MOI #-URL【編集

なぜか知ってました☆

小椋桂でしたか、やはり。変なことばかり覚えてますね(笑)。

ランボーの詩もとても古い時代に書かれたものなのに、古くならないっていうのがすごいですね。

小林秀雄といえば、高橋源一郎の初期の小説で濃いキャラとして登場してました。なんか、そのイメージが強いですね。「深淵」とか言ってたような(笑)。

2006年02月07日 / しゃるろっと #-URL【編集

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