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それがばかげたことだと知っていた

今日は暑いです。わたしの住んでいる北海道も30度近くになりました。今いる部屋も暑いです。今日お送りする「異邦人」も、ますます暑いです!

さて、砂浜でアラビア人と立ち尽くしていたムルソーは、一歩前に踏み出します。

Je savais que c'était stupide, que je ne me débarrasserais pas du soleil en me déplaçant d'un pas.

私はそれがばかげたことだと知っていたし、一歩体をうつしたところで、太陽からのがれられないことも、わかっていた。

ばかげたことにあたるstupideは、ここでは無意味なという感じでしょう。
和仏でばかげたを引くとabsurderidiculeという単語が出てきます。absurdeは哲学用語で不条理という意味になります。まさにこの小説の重要なキーワードでもあるのですが、一般的には筋の通らない、という意味でわりと使われる言葉です。ridiculeにいたってはこっけいなというニュアンスでしょう。

するとアラビア人はナイフを抜き、ムルソーに向けて構えます。そのときムルソーはどんな心地だったのでしょう?

Je ne sentais plus que les cymbales du soleil sur mon front et, indistinctement, le glaive éclatant jailli du couteau toujours en face de moi.

額に鳴る太陽のシンバルと、それから匕首からほとばしる光の刃の、相変わらず眼の前にちらつくほかは、何一つ感じられなかった。

ここで、わたしがおやっと思ったのは太陽のシンバルles cymbales du soleil の部分。 前回、隠喩についてちらっと触れたのだけれど、これは直訳するとシンバルの太陽ですね。前回の方法でシンバルみたいな太陽と訳しても、いまいちですね・・・太陽のシンバルにするとむしろ詩的で感じもよく伝わりますね。ここも翻訳者の密かな腕の見せどころですね。
ところで、わたしはこの「異邦人」を読むで、まったく文法に触れていないので、フランス語の文法の勉強中の方や、まだ習い始めの方には、なにがなんだかわからない企画なのかもしれませんね(笑)。

ナイフに反射する太陽に、ついにムルソーのなかでなにかがはじけたようです。

C'est alors que tout a vacillé.

そのとき、すべてがゆらゆらした。

ゆらゆらしたにあたる動詞vacillerぐらつくといったニュアンスでしょう。

Tout mon être s'est tendu et j'ai crispé ma main sur le revolver.

私の全体がこわばり、ピストルの上で手がひきつった。

Tout mon être 私の全体と訳されています。まずフランス語を習い始めのときに活用の暗記を余儀なくされる動詞と言えばêtreですが、ここでのêtreは動詞ではなくて、もちろん名詞です。人間存在と仏和を引けば載っているでしょう。ここでは全身全霊身も心もという意味だと思います。

この一部のクライマックスの部分は、フランス語で読むと本当にスリリングです。日本語ではそっけないというか、クールな語り口調に感じるけど、それでも最初読んだときはかなりドキドキしました。どうしてムルソー、撃っちゃったの???? ってみんな思ったはずです。

これこそまさに、absurdeというものです!

2005年06月23日 | 「異邦人」を読む | こめんと 0件 | とらば 0件 | とっぷ

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