スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

--年--月--日 | スポンサー広告 | とっぷ

王子よ、再び。

・・・王子といえば、このかたも、久しぶりの登場です!



昨日、「TBS新訳・星の王子さま」の完走、パイロット賞記念としてこの監修の三野博司先生、直筆サイン入りの「星の王子さま」の本が届きました。先生ならびに関係者のみなさん、ありがとうございました。
さっそく、昨日一日で三野さんの新訳を読み終えた感想など、僭越ながら少し記します。
もうネット上で得られるいろいろなレビューや「星の王子さま」関係のサイトなどで新訳の読み比べや批評などをそれなりに目にしてきたのですが、一冊まるごと「星の王子さま」を読んだのは、あと内藤濯さん訳だけです。他のかたがたの新訳は読んでいません。

この企画が終わってからも前記事の「取材」で答えている通り(笑)、「Le petit prince」の原書を読み直しました。今、他にも読んでいるフランス語の本やテキストがいくつかあるのでゆっくりペースですが、只今2回目です。真ん中を過ぎたくらいのところです。
改めて何度も原文をシツコク(笑)読んでいる身のものとしても、三野さん訳は原書を読んだときに受ける感じに近い訳だと感じました。

実際にプロジェクトに参加しているときに訳しながら、どうして内藤濯さんの訳がこうなったんだろう? と、なにか日本語のモヤっとした部分がクリアになったのは事実です。

いろいろと面白いと感じたフレーズがあるのですが、前半の部分で「なるほど」と感じたところを書き出してみます。

まず、3章のパイロットの語りの部分・・・

Je désire que l'on prenne mes malheurs au sérieux.


★内藤さん訳 : 天から落ちるなんて、ありがたくないことなんですから、しんけんに考えてもらいたかったのです。

★三野さん訳 : その時、僕がどれほど情ない気持ちだったか、君たちに真剣に考えてほしいものだ。
ここで内藤さんの訳では主語のonが曖昧(文脈から王子を指しているように感じます)ですが、三野さん訳では読者への呼びかけだということがはっきりとしました。 désirerの時制もこちらは現在形で忠実に訳されていると思います。

そして同じ3章の王子さまのセリフ・・・

C'est vrai que, là-dessus, tu ne peux pas venir de bien loin…

★内藤さん訳 : そうか、じゃ、そう遠くからきたわけでもないな・・・

★三野さん訳 : そうだよね、これじゃあ、そんなに遠くからはやって来れないね・・・

このフレーズ、内藤さん訳のほうは王子さまが独り言を言っているようなニュアンスが強いですね。こちらも三野さん訳はpouvoirの動詞が生きた訳になっていると思いました。là-dessusの部分もちゃんと文に生かされていると感じました。

7章の王子さまのセリフも。
 
Et si je connais, moi, une fleur unique au monde, qui n'existe nulle part, sauf dans ma planète, et qu'un petit mouton peu anéantir d'un seul coup, comme ça, un matin, sans se rendre compte de ce qu'il fait, ce n'est pas important ça!

★内藤さん訳 : ぼくの星には、よそだととこにもない、めずらしい花が一つあってね、ある朝、小さなヒツジがうっかり、パクッとくっちまうようなことがあるってこと、ぼくが ―このぼくが― 知っているのに、きみ、それがだいじじゃないっていうの?

★三野さん訳 : もし、ぼくがこの世でただ一つの花、ぼくの星以外のどこにも咲いていない花を知っていて、ある朝、小さなヒツジが、自分が何をしているのかわからないまま、ひと口でその花を消滅させてしまっても、それが大事じゃないって言うの!

この文はちょっと長いのですが、三野さんの訳はフランス語の語順に沿った訳なので、実際にフランス語で読んだときに受ける感覚に近いのです。
anéantirを「消滅させる」と訳したのは硬い印象を受けるかもしれないのですが、この訳語は仏和に載っているとおりの表現、それに対して内藤さんは噛み砕いた訳で「パクッとくっちまうようなこと」としていますね。
この部分で一番大きな違いは動詞connaitreが何を受けているのかという解釈でしょう。
内藤さんは「ヒツジがくっちゃうようなこと」を受けた訳文にしていますが、三野さんは「花」を受けています。読解的には三野さんの解釈が正しいと思います。
実はこの王子のセリフを内藤さん訳で初めて読んだときに、わたしはすごくグッときたんですけど、今こうして原文や他の訳者さんのものと読み比べると、ちょっと意味が違っていたようで、アレって気もします(涙)。
内藤さん訳の「ぼくが ―このぼくが―」ってあたりの溜めも好きだったんですがね・・。 

他にもいろいろと気になる箇所がたくさんあるのですが・・・三野さんの訳の感想としては、登場人物のセリフに気品が感じられるということでしょうか。内藤さんのユニークな語り、特に星巡りの章のキャラたちの滑稽な感じがなく、人物が堂々とした感じ。
パイロットも内藤さん訳のほうはシャイで大人になりきれない人というイメージが強かったのですが、三野さんのほうは語り口も重々しくしっかりとした印象。
肝心の王子さまはというと、やはり三野さんのほうが「大人」の王子さまでした。

翻訳を「宝石の加工」にたとえてみると、三野さん訳は「原石のまま形になった訳」という印象です。言葉を付け加えたり、噛み砕いたりせず、もとの形(フランス語)をそのままストレートに生かしているというか。だからフランス語を読むことが出来るかたにとっては、読んでみると「なるほど」と思う部分が多いのでは。
一方、内藤さん訳は「磨いたり削ったりした訳」という感じかな。それぞれ読み手の好みが分かれるところでしょう。訳者さんのスタンスによるものも大きいと思いますが。個人的には三野さん訳を読んだことによって頭がスッキリとしました。

もし、これから「星の王子さま」の原文にチャレンジしょうというかた、フランス語の勉強のためにこの作品を読みたいというかたには、三野さん訳がわかりやすいのでは?
わたし自身にとっても、これからフランス語の訳し方のシンプルなお手本になりそうです。

2006年04月04日 | 新訳・星の王子さまプロジェクト | こめんと 21件 | とらば 0件 | とっぷ

コメント

この読み比べ、おもしろいです!
わたし、まだ星の王子さまは内藤さん訳のほうしかよんだことがなくて・・・

フランス語版も数冊もってるのに、読んだことない!・・・怠惰すぎます。

でも、おもしろいですね、ほんとに。
訳者さんそれぞれの考えや価値観とかも入ってくるわけですものね。
わたしも、原文がんばって読んでみようかな・・・

2006年04月05日 / KiKi #JkKHpHngURL編集

アタリ!?

遂にくりしぇさんの元にもブツ!が届きましたね。
どおですか?予想は的中してましたか?
ヒロピー教授のサイン入りは想定外でした~。自分の名前入りはかなりうれしかったなぁ。ヒロピー教授、字がかわいいですよね。

毎度おなじみのTBS便箋が好きです。
ミーハーなので、笑

私もヒロピー訳、原書と読み比べてみようかな。異邦人はどこへ行った?異国へ旅立ちました、笑

2006年04月06日 / uwabami #-URL【編集

KiKiさんへ

わたしもプレゼントされたから読ませていただいたという感じで・・・、新訳10冊くらい出ているのを全然読んでなかったのですよー。(でも、読みすぎると混乱するかも★)

いろいろ訳が出揃っても結局は読み手の好みでしょうね。あんまり勉強って感じで訳書を読むのはホントは好きじゃないのです。
原文はそういうノリ(勉強だと思って)で読んでますけど(笑)。

2006年04月06日 / しゃるっと #-URL【編集

uwabamiさんへ

ええ。予想通りでした! 前にコメントで「欲しいなー」って言ったとおりになった(笑)。

星王子グッズも欲しかったなー☆
わたし的にはヒツジのぬいぐるみね。

三野さん訳、日本語で一回読んだだけでちゃんと読み比べてはいないのです。それでも、「ややっ」って部分がいっぱい出てきました。内藤さん訳もかなり読んだからかな(笑)。くりしぇに憑依してたし☆ 師匠のかわいい訳も改めていいと思いました。

んー、もう一回訳し直したいーーー!!!

2006年04月06日 / しゃるろっと #-URL【編集

直したいですね~

時間が経ってから自分の訳文を読み直して、私も直したいところがありますよ~。
コンテストのウェブがそのままなので、はずかしいです…(苦笑)。

私も前にブログで感想を少し書いたけれど、フランス語原文を読む(読んだ)人には三野さん訳がいちばん納得がいく新訳だと思います。
しかし、同時期にこんなにも新訳がたくさん出るのは、商業的なこともあるのだろうけれど、このものがたりは名作なのだとあらためて感じました。

そういえば、また一冊、新訳が出ましたね。図書館の目録にあったので(まだきていないけど)、予約しました(笑)。読みますよっ。

2006年04月06日 / oomot #aIcUnOeoURL編集

oomotさんへ

訳し直すなら、部分的にじゃなくて作風をガラリと変えたいですね。まず、「ですます調」をやめたい。

あと、難しいのはわかってるけど、かわいくて易しい訳も。

詩的でたおやかーな訳とか、レトロ調でちょっとオシャレっぽいのとか(笑)、勝手にイメージだけはあるんだけどね☆

前にリンクした研究されている方の新訳総合評価ランキングは、稲垣さんの訳が1位になってました。なめこさんもそんなにけなしてませんでした(笑)。

2006年04月06日 / しゃるろっと #-URL【編集

作風

私は作風を打ち出すところまでできないと思います…。

「です・ます調」と「である調」の選択は悩んだのですが、フランス語の朗読CDを聴いた感じ(音の感じ)も考えて、コンテストでは、「です・ます調」にしてしまいました。
出版された新訳を読むと、地の文を「である調」にしたほうが、日本語にしたときには、メリハリが出るような印象はありますね。

なめ子さん訳、読みたいんですけど…(笑)。

2006年04月06日 / oomot #aIcUnOeoURL【編集

文化

プロジェクトのとき「です・ます」で訳したのは、実は作風まで頭がまわらなかったからなのよね。最初に無難な線で出したとき優秀賞だったから、このままいくか☆みたいなのがあって。全体的に無難に。。。たまに勝負に出て凝ったことやると評価が出なかったので。。。ホントはいろいろ冒険したかったけど(キャラ設定とかじゃなくてね)。いろいろ試行錯誤はあったつもりですが。。。

でも原文自体をあまり読み込めてませんでしたね。。。そりゃー素人であたりまえだろうけど。

どちらかというと、わたしは参加者のかたでも工夫している訳のほうが面白いと思ってたんですよがね。。。

翻訳は日本語になった時点で、もう違うものだと思うので(文学は特に)、ほとんどの人がフランス語読めないわけだしね。

でもキャンデロロの「荒川コメント事件」みたいなのはひどいねー。こういう勘違いがあるから、文学より報道関係のひとは大変かも。これはわたしはネタにしなかったけど、文化の違いって、こういうことよね。(単に彼がお調子ものだったのか?)

2006年04月06日 / しゃるろっと #-URL【編集

こんばんは

お久し振りです。
今回の話しは、なるほどと思いながら見ていました。といっても、さっぱりなのですが(笑)
原文持っているけれど呼んだ事のない私ですが、これを機会に読んでみようかなぁ。
まぁ、私にはまだまだ早過ぎる気もしますが、楽しんでパラパラとめくってみる事にします。

2006年04月06日 / mine #gcWPADJgURL編集

mineさんへ

こんばんは!

いやぁー、わたしも実はフランス版最初に買ったのだいぶ前ですね。フランスにいたときは読み書きまるで出来なかったし、本はなかなか読めるようになりませんでしたね。。。

読解以前に、オーラみたいなものを文から感じられるようになったらしめたものですよ!

セリフの部分などは丸暗記しちゃうとかね☆

2006年04月06日 / しゃるろっと #-URL【編集

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2006年04月09日 / #【編集

鍵様へ

コメントありがとうございました!

この話題はこのブログで取り上げるかどうか少し考えたのですが、書いてみてよかったなと思いました。

わたし的には最初新訳はそんなにたくさん出なくてもいいのでは、と思っていたのですが、ここまで来たらもっとたくさんいろいろなのがあってもいいのでは、と思うようになってきました。もっと創作的でびっくりするような「星の王子さま」が出てもいいと思っています。(新訳をいろいろ読んだ訳ではないのですが・・・)

これからもいろいろな解釈、訳者さんの個性がでている新訳がたくさん出れば楽しいと思います!

2006年04月09日 / しゃるろっと #-URL【編集

connaitreがうけるもの

お久しぶりです。私もパイロット賞に、教授のサイン入りのご本をいただいて嬉しく思いました。良い思いつき!記念になりますね。

ところで第7章、Et si je connaisの示す範囲について、疑問が一つわきました。”et qu'un petit mouton peut…”の中の、que以下はconnaisの目的部分ととらえることはできないでしょうか。

connaitreを調べてみると、辞書で新スタンダード仏和辞典に「~ que ind.(古)…ことを知る」と書いてありました。これならできそうですね。LeDicoは、「従属節をとることができるのはsavoirのみ」でした。

もしque節をとることができるなら、connaitreという単語の効果を後半まで含めることができるのでしょう。どちらにしても、結局意味には変わりはなさそうですが…。どう思われますか。

2006年04月14日 / プティムートン #-URL【編集

プティムートンさんへ

おひさしぶりです! ほんといい記念になりました。

そうですねLe Dicoをみたら「Savoirのみ」と書いてありますね。ロワイヤルの中辞典ではその点は書いていなかったような。。。わたしはここでsavoirではなくて、connaitreが使われているのは、深く理解している・・・というようなニュアンスを感じました。connaitre une femmeで「女性を知る」というちょっと意味深な意味があったりするので、「花」に対してそういうことも含めたのかな、と思ったり・・・(サンテックスはそういうことを意識して使っていないと思うのですが)、だから「花」にこの動詞が受けるほうが自然かなと思ったりもしたのですが。。。新訳を読んで、ここは勝手になるほど! と思ってしまいました。
文の流れからも、こちらのほうがわかりやすいと思いました。

どうでしょうかね~。

2006年04月14日 / しゃるろっと #-URL【編集

わかりづらいです…

“et qu'un petit mouton peut anéantir...”のqueは関係詞(先行詞がune fleur)ですか。

文法の理屈っぽく言うと、“qu'un petit mouton peut anéantir...”以降がconnaitreの目的語(従属節)とすると、anéantir(他動詞)の目的語がなくなってしまうので…。

という説明で、いいですか?

音できいていると、なんということはないのですが、文字を黙読すると、挿入の修飾語が多いので、すごくわかりづらいです。(訳すときは、わけないと、訳しづらいし…)

2006年04月15日 / oomot #aIcUnOeoURL【編集

なるほど~

こんばんは。しゃるろっとさん、oomotさんのコメントでとても助かりました。connaitreが節を導くかどうかの話ではなかったですね。他動詞anéantirの目的語がune fleur、そしてqueは関係代名詞ということになり、三野さん訳のようになりますね。

文の構造がどうなっているのか気になったのですっきりしました。こういう解明は面白いのですが、確かに分かり辛いところがありますね。

2006年04月15日 / プティムートン #-URL【編集

oomotさんへ

ううむ。やはりわたしはフランス語を文法的に考えるのが苦手なようだ。。。感覚的に決め付けちゃうほうですかね(笑)。だから、この部分もわかりづらいとも思わなかった。←アホ。長いなーとは思ったけどね(笑)。

この部分は三野さんの訳を読んで、すぐ納得してしまいました~。

プティムートンさんはoomotさんのコメントで、すっきりしたらしいですね。ありがとうございました!

2006年04月15日 / しゃるろっと #-URL【編集

プティムートンさんへ

なるほど。なんかわかんないうちに、プティムートンさん、oomotさんのコメントですっきりされたようですね(笑)。状況補語でややこしくなっているんですよね?

三野さん訳は前から訳されているので、内藤さん訳より、長い文もすっきり理解しやすいと思いました。
わたしのコメントでは、よけいわからなくなりますよね~(笑)。

2006年04月15日 / しゃるろっと #-URL【編集

余計に混乱?

ことばだけで説明すると、余計に混乱していますか?
一応、図示すると、こんな感じですか。

je connais, moi, une fleur unique au monde, qui n'existe nulle part, sauf dans ma planète, et qu'un petit mouton peut anéantir d'un seul coup, comme ça, un matin, sans se rendre compte de ce qu'il fait

新訳では、関係詞のところで分けて訳しています。
訳してしまうと、王子が怒って、まくし立てるように、セリフを言う感じはなくなってしまいますね。

2006年04月16日 / oomot #aIcUnOeoURL【編集

なるほど。

センセの説明でかなりスッキリ。

この王子のセリフは冷静さがなくて、まくし立てるような感じですよね。雰囲気的にいくと内藤さん訳はいい味でてますねー。新訳では淡々としちゃってるかな。なるほどー。

くりしぇはどうやってるか見てみるか☆

2006年04月16日 / しゃるろっと #-URL【編集

やっぱり・・・

くりしぇさんわかってなかったですねー。長い文章で迷子になってました☆ この章はダメダメですなぁ。。。

いやぁ、勉強になりました! せんせっ。

2006年04月16日 / しゃるろっと #-URL【編集

コメントの投稿



管理者にだけ見せる

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。