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翻訳びくびく日記



↑ このオッサンは一体。。。 「ヘイ、らっしゃい、らっしゃい!!! 」

これは「NHKテレビフランス語会話」の今月号のテキストの表紙です。すんごい久々に買ってみた。
実は番組、あんまし観てないの☆ 本屋さんで見てたら、なんとなく買ってしまったわ。「ラジオフランス語講座」と見比べてみたら、こっちのほうが面白そうな感じが。(でもフランス語にカナをふってるのが読みづらい・・・字もでかいね☆)
後ろのほうに野崎歓さんのコラムが連載されているではありませんか。「翻訳びくびく日記」だって(笑)。

野崎歓さんといえば、一連のトゥーサン作品をはじめ多数のフランス文学の翻訳などで知られていますね。その他にも香港映画の評論などでも活躍されているかたです。わたしが最初に「浴室」を読んだのはもうかなり前のことですが、なにか今までのフランス文学とは違う新しい風を感じたものです。口当たりはいいけど深い・・・みたいな。
後にその「La salle de bain」のフランス語のテキストを読んでみると特別、新しいとか個性的な感じがしなかったので、あの作品が支持されたのは翻訳の力も大きいんだろうなと感じたものです。「浴室」もいいけど「カメラ」という作品も好きです。特別ドラマチックなお話ではないけど、作品に漂うゆるい空気感が好き。

そんな野崎さんのコラム、6月号ではこのようなことが書いてありました。

あまりに硬く難解だと敬遠されがちなフランス文学を、できるだけくだいて提供したい。ぼくの場合はそれが訳者としての基本方針だ

・・・んー、なるほど。トゥーサンの翻訳本の軽い口当たりは彼の基本方針を反映しているのだろうか。

このコラム、彼の語り口調が魅力的なのもさることながら、5月号に掲載されていた「題名を訳せ!」という記事の内容がとても、個人的にキャッチーだったのでここに載せてみます。もう、読んじゃったかた、ゴメンナサイネ。

★邦題に名訳あり★

映画のタイトルがちゃんと訳されなくなって久しい。英語のカタカナ表記そのままが普通になってしまっている。ハリウッド映画ならまだしも、フランス映画だって「リード・マイ・リップス」などと英語名で封切られるご時勢だ。(中略)

やれやれ、と村上春樹的ため息をつくしかない。でも村上さんの「キャッチャー・イン・ザ・ライ」もまた、そうした表題翻訳の衰退(大げさかな?)に右へならえした気味がある。野崎孝の「ライ麦畑でつかまえて」という題はやはり名訳だった。
あなたのお父さんはアメリカ文学者ですよね、とたまに言われることがある。光栄なのだが、翻訳の名人として活躍した野崎孝さんとは、残念ながら何のご縁もない。

フランス文学で「ライ麦畑でつかまえて」と肩を並べるくらいの人気を誇るロングセラーというと、何といっても内藤濯訳「星の王子さま」だろう。訳文はすばらしいの一言に尽きる。とはいえぼくも生意気にも、この邦題、昔から感心しないのである。装飾過多というか、甘口すぎるというか。こそばゆい気がしてしまう。(中略)

とはいえこれだけ広く親しまれてしまうと、新訳でも思い切って変えにくいのはしかたがあるまい。翻訳家たるもの、そんな後世に残る名タイトルを、一度でいいからつけてみたいものではないか。

(中略)

★「よそもの」を推す★

「星の王子さま」とともに、フランス文学の大メジャー作品といえば「異邦人」だった。少なくとも一昔前までは。しかし「イホウジン」というこの言葉、最近の学生たちには聞きなれない響きのようだ。そもそも決して日常的な単語とはいえない。ところがカミュのL'Etrangerはまったくの日常語である。英訳題はThe Stranger。「外国人」「異人」「外部者」「異分子」等々といった意味あいを一語のうちに兼ね備えた単語が、日本語ではうまくみつからない。かといって「イホウジン」はやっぱり硬すぎるのでは?

窪田啓作訳の新潮文庫「異邦人」は初版以来、半世紀にわたり読みつがれてきた。現在の時点でなんと100版を超えている。これもまた、読みつがれるに値する名訳だと思う。ただし、その翻訳の姿勢は邦題の選択に示されているとおりだ。きわめて文学性の高い、あえていえば高級感ただよう訳語が選択され、ほれぼれするような美しい文体がつらぬかれている。出版当時、つまり敗戦後10年しかたっていない日本での、フランス文学に対する憧れや期待の高さをそのまま反映した訳業だろう。「きょう、ママンが死んだ」という冒頭の一文。気取った「ママン」の一語に、読者はフランス語の香りをかぎ、すでにしてうっとりとなったのではないか。

逆にいえばこれは、まったく別な方針で翻訳し直してみたいという気持ちをそそる作品でもある。手もとの仏和辞書で「ママン」を引くと「ママ」「お母ちゃん」とある。(中略)
ムルソーには「私」ではなく「オレ」といわせようか。

「きのう、オカンが死んだ。きのうかもしれんが、オレは知らん」

ちょっと乱暴すぎたようだ。しかし邦題はぜひとも新機軸を打ち出したい。ぼくの提案は「よそもの」。平明でよいのでは。何年かして「異邦人」の翻訳版権が切れたとき、おそらく「星の王子さま」同様、新訳が乱立する事態が生じるかもしれない。そのときタイトルにはどんな工夫がこらされるだろう。それとも結局は、旧題が踏襲されるのだろうか?

★プチ問題★

「星の王子さま」の翻訳独占権が切れ、10種類以上の新訳が準備されている。ある朝、そう報じる新聞記事を見たときの驚愕はいまだ生々しい。そんな事態になっているとはつゆ知らず、其社からLe Petit Princeの拙訳を出す話がまとまったところだったからだ。一度は訳してみたい本だし、それにきっと印税の面でも期待できるのでは、と浅ましい考えも頭をかすめていた。記事からしばらくたつと、池澤夏樹や倉橋由美子といった有名作家の訳を始め、立派な翻訳が次から次に出た。完全に遅れをとった拙訳、世の「王子さま」ファンがみんな満腹して立ち去ったころにようやく登場する運びとなってしまった。

まぁ、そんなことは本質的問題ではない。と、自分をはげますしかない。「星の王子さま」に替えて、自分の考えた題をアピールできるだけでも幸せではないか。ところがいざとなると、以外にも妙案は浮かばないのである。princeは「主君」や「大公」の意味でも使う名詞だから、「王子」は実はぴったりでもないのだが、これは仕方がない。問題はpetitだ。「小さい」ではあまりにも芸がないし、ニュアンスに乏しいなあ、と考えあぐね、しかしpetitは作中にも頻出する重要単語だから何とかすっきり訳したい、ともがく。こうなったらもう、「プチ・プランス」でどうだ?  いやそれはだめだって。

やっとたどりついた題名は「ちいさな王子」。どうです、ひらがな表記が柔らかく、petitの「かわいい」「いとしい」という含意が出ている。直訳の清々しさもある。それに、数多く出た新訳のうち、同じ題を選んだ本はどうやら1冊もない。決定!

取るに足らぬ違いではないかとおっしゃる?  確かに。でもあの本は、ちいさな星からやってきた王子の、ちいさなお話なのですよ。ちいさな点こそが大事なのです。題名が決まって、わが遅ればせのプチ・プランスがにわかにいとしく思えてきた。


野崎さんも「星の王子さま」の新訳ラッシュに関わっていたとは・・・。そうそう、わたしの素朴な疑問として、なぜ「王子さま」なのかなー? っていうのがあったの。「王子」じゃ失敬なの!? みたいな(笑)。「ちいさな王子」とは、こりゃー気になりますね。
最初に期待していた倉橋さんも、気になってたなめ子さんも、わたしの心を掴まなかったわっ。やっぱ、タイトルを変えないと新しい「星王子」にはならないよね。
それにしても野崎さんワールドは、この翻訳ラッシュの(わたしの)本命になるのか!? こりゃー、楽しみだ。

2006年06月07日 | つぶやき | こめんと 6件 | とらば 1件 | とっぷ

コメント

おー!!テンプレートが変わっている!(過去記事に申し訳ないです)
実は、今まで言ってなかったのですが、私のブラウザでは(mozilla)なぜかTopページには
サイドしか移らず、個別に記事を読んでいかなくてはいけなかったのですが、
このテンプレートになってからはTopから見れる!すごい!!
これで一気読みが出来るぞ~(笑)
ところで、トゥーサンのシリーズはほとんど読みました。映画の浴室のかったるい感じも好きです。ムッシュもカメラも良いですよね。
なぜか毎年、この時季に読み返したくなるのですが、多分翻訳でとても素敵な雨の表現があってそれが好きだからだと思います。(浴室の中の)
翻訳の力って確かにすごいですね。

2006年06月14日 / mine #gcWPADJgURL編集

mineさんへ♪

テンプレートが変わると気分もすごく変わりますね~。今まで長く使っていたテンプレート、古い形式のだったみたいで、実は画像を載せるときにプレヴューではあってるのに、ブログ上ではズレズレだったり、かなり不便だったのです。時代は刻々と進んでいるのですねー。かなり記事をアップするのも編集するのも楽になりました!

トゥーサンは原文で読むより野崎さん訳のほうが面白いかも(爆)。「ちいさな王子」もすごく楽しみですね♪ 内藤さん訳も名訳だと思うし好きなんだけど、また違うヴァージョンの面白い「王子さま」も読みたいです!

2006年06月14日 / しゃるろっと #-URL編集

NoTitle

とてもおもしろかったです。
「異邦人」がかたくるしい、という話。
「ちいさな」がいとしくなってくる話。
そして、あなたさまの、「さま」についての疑問。
みんな、とてもおもしろかったです。

2006年06月22日 / ばりん #-URL【編集

ばりんさんへ♪

ただいま休暇中でお返事遅れてスミマセン。

野崎さんのこのコラム、とてもわたし的にも面白くて記事にしてみました。
古典的なフランス文学も訳し方でいろいろな感じになるんだろうな、とは前々から思っていました。著作権の切れる名作がぞくぞく出てくる時期に入っていくので、すでにイメージの出来上がっている作品も、訳者さんによっていろいろな新しい解釈のものが登場するのかと思うと楽しみです!

素朴な疑問や意見は言うのも、聞くのも好きです。
フランス語の「ちいさな」(petit)は「いとしい」という意味もあるのですよ♪

「王子さま」っていうと少女漫画ちっくな感じがして・・・ちょっと抵抗が以前からありました(笑)。

2006年06月24日 / しゃるろっと #-URL編集

>(…)「浴室」(……)、なにか今までのフランス文学とは違う新しい風を感じたものです。口当たりはいいけど深い・・・みたいな。

私もそう感じていたひとり。わが意を得たり、でした。そこで、紹介にありました野崎歓さんの『翻訳びくびく日記』を読みました。
なるほど、面白かった!! 読後感もとても良く、ユーモアの果てに、清々しいものが残りました。紹介をいただき、有り難さを感じています。

2007年02月23日 / ぼんじゅーる #-URL【編集

ぼんじゅーるさん♪

過去記事にコメントありがとうございました!

野崎さんのこのエッセイ面白いですよね♪ 「星の王子さま」の新訳のタイトルに「星」をつけなかったのは、今思うと新訳だから新しいタイトルにしようっていうより、他に大量に出た新訳との差別化を意図的にしたのかな・・・って気もします。野崎さんはサラリと書いていますが、内藤さんが作ったこの物語のブランド性よりオリジナリティを取ったのね~って、これって結構「骨太」な行為だと思いました。

2007年02月24日 / しゃるろっと #-URL編集

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