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理由はありません

今日も暑いです。窓の外から今「島歌」が聞こえてます(笑)。

さて「異邦人」を読んでいきます。

院長と別れたムルソーは一人でママンの棺の置かれた小部屋へ入っていきます・・・

A ce moment, le concierge est entré derrière mon dos.

このとき、私の背後に門衛が入って来た。

この名詞conciergeは後ろにde l'écoleを付ければ用務員de l'hôtelが付けばホテルの管理人になりますね。現在では門衛といいたい場合gardienのほうが一般的らしいです。

Il avait dû courir.

走って来たに違いない。

この場合の動詞devoirは推測・可能性を示しています。のはずだという強めの推測から、きっとそうだろうという曖昧な表現もこれひとつで表すことができます。

急いで駆けつけて棺を開けようとする門衛を、ムルソーは引き止めます。

Vous ne voulez pas?

ご覧にならないですか

直訳すると、あなたは望んでいないのですかという感じです。

Non

ええ

否定で聞かれたので、望んでいない場合はNonです。

拒絶したムルソーはまたもや自分の発言に後悔しています・・・

J'étais gêné parce que je sentais que je n'aurais pas dû dire cela.

こういうべきではなかったと感じて、私はばつが悪かった。

気詰まりな困惑したという意味の形容詞gênéは、くだけた言い方で、たとえばil n'est pas gênésと言えば、彼はあつかましいと言う意味になります。

いかにも不思議そうになぜ?と聞いてくる門衛に対して、ムルソーはこう答えます。

je ne sais pas.

理由はありません

直訳すると、知りませんですね。フランスに旅行してなぜか道を聞かれることって結構多いと思います。そのとき場所がわからなかった場合はこのje ne sais pasよりも je ne connais pasのほうがソフトな感じになりますね。もちろんフランス語自体がわからないときはje ne comprends pasになります。

そんなムルソーにこの門衛はこう言っています。

Je comprends

わかるよ

これは翻訳の妙ですね。これをわかったと訳した場合と比べてみると印象がかなり違ってきますね。微妙なニュアンスなんですけどね・・・。

そしてムルソーに椅子をすすめて、自分も腰掛けた門衛は看護婦を見つけるとこう言います。

C'est un chancre qu'elle a.

あの人は腫物ができているんだ

ここでわたし、最近見たある翻訳本の新聞記事を思い出しました。(さぁ、いいですかー、話はおもいっきり脱線しますー)
北海道新聞を見てたら「原作よりハマるド超訳」というタイトルが目に入りました。黒岩涙香の「噫無常」(レ・ミゼラブル)の評論でした。これは明治35年の翻訳小説で、当時のままの旧カナ、正字、総ルビの復刻だそうです。ここから部分的に読むことができます。

噫無情―レ・ミゼラブル (前篇)」と「噫無情―レ・ミゼラブル (後篇)」が発売されています。全体の分量は少ないそうで、大胆にも第1章は省略されているらしいです。登場人物の名前も無理やり日本名でコゼットは「小雪」エポニーヌ&アゼルマ姉妹は「疣子(いぼこ)&痣子(あざこ)」でギャグです。(この名前からこの記事を連想したんだけどね)
評論によると19世紀のフランスに無声映画時代の日本の俳優が迷いこんだような奇妙な味があるとのこと。さらに、ケチでスケベなユゴー像はこの涙香訳を読むことで鮮明になる気がするのだとのこと。「レ・ミゼラブル」といえば子供のころ漫画で読んだのがはじめで、フランス語の読解教材でも部分的に読んだし、あとNHKの衛星放送でフランスでドラマ化されたのを観たような・・・これはひとつの作品でもいろいろな風にできるといったよい例になるのではないでしょうか。翻訳(主に出版に関してですが)という作業はそのままそっくり日本語にするということではなくて、一般に考えられているより、もっとクリエイティブな作業だと思うのです。そして自由度があるほうが面白いものができるのでは?とわたしは思うのです。
大胆な翻訳大いに結構!

2005年08月01日 | 「異邦人」を読む | こめんと 2件 | とらば 0件 | とっぷ

コメント

NHKの衛星放送のドラマでジャベール役のマルコヴィッチのフランス語、吹き替えでないならえらくうまかったですね。
原文と違って翻訳文は翻訳された時代の影響があるんでしょうね。
フランス映画を最初みたとき「シェパ」というのがわからなかったです。J'sais pasだったんですね。日本語でもすべてに母音があるわけではないですよね。

2005年08月02日 / ドラム小僧 #-URL【編集

時代の影響

フランス語でもももちろん若者言葉とかありますが、日本語は時代によって言葉の変化が激しいですよね。すぐ古くなってしまう言葉もあるし。
わたしも最初、j'suisってどう読むんじゃ、聞き取れんって思ってたら「スィ」でした。

2005年08月02日 / しゃるろっと #-URL【編集

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