スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

--年--月--日 | スポンサー広告 | とっぷ

夜と花とのにおい

「異邦人」を読みます。今日は死体置き場の小部屋で門衛がムルソーにいろいろと身の上話をしたあとのところからです。夕暮れ時の描写からどうぞ・・・

Le soir était tombé brusquement.

夕暮れがにわかに降りて来た。

ここで夕暮れが降りて来た、にあたる部分のLe soir était tombéを現在形にするとLe soir tombeになりますが、これはまぁ、日が暮れるという意味です。brusquementにわかに、になっているあたり日本語の妙というものです。

Très vite, la nuit s'était épaissie au-dessus de la verrière.

じきに夜がガラス屋根の上に厚くかぶさった。

この訳はなんとなく意味不明というか、詩的というか(笑)。la nuit を窪田啓作はとしているけど、これはのほうが自然な気がします。s'était épaissie 厚くかぶさったとするよりも濃くなるとして、ここは夜がかぶさったとするよりは、闇が濃くなったのほうがわかりやすいかな?

門衛が食事を勧めますが、ムルソーはお腹がすいていなかったので断ります。そこで気をきかせて門衛は今度はミルクコーヒーを勧めます・・・

Comme j'aime beaucoup le café au lait, j'ai accepté et il est revenu un moment après avec un plateau.

私はミルクコーヒーが大好きだから、承知した。しばらくして彼はお盆を持って戻ってきた。

このフレーズ、ミルクコーヒーカフェオレに、お盆トレイに変えたいと思うのはわたしだけではないと思います(笑)。

コーヒーを飲んだムルソーは煙草が吸いたくなりますが、ママンの前でそんなことをしていいのかと躊躇します。でも・・・

J'ai réfléchi, cela n'avait aucune importance.

考えて見ると、どうでもいいことだった。

・・・こういう些細なことのひとつひとつが後々重要な意味を帯びていくということを、この時のムルソーは考えてもいません・・・。それとも、この人にとってあらゆることはたいした意味を持たないのでしょうか?

少し疲れていたのに、だんだんくつろいできたようです・・・

Il faisait doux, le café m'avait réchauffé et par la porte ouverte entrait une odeur de nuit et de fleurs.

穏やかな陽気と、コーヒーで体が暖まった。開け放たれた戸口から、夜と花とのにおいが入って来た。

ここのdouxは非人称のilで気持ちのいい気候を表しています。今日のタイトルに選んだ夜と花とのにおいというフレーズから南の国の甘美な夜の匂いを思い起しました。ムルソーが愛していたアルジェの夏の夜の匂いとはどんな匂いだったのでしょう? わたしがイメージする南仏の匂いといえば、レモンなどの柑橘系の香りや、ポプリやエキゾチックなスパイス類の混ざったような匂い(ニースの旧市街で漂っていたような匂い)なのですが。

そして彼はというと・・・

Je crois que j'ai somnolé un peu.

少しうとうとしたと思う。
 
ムルソー、くつろぎ過ぎ(笑)。

今日の場面から、ムルソーという人物が自己の欲求に逆らうことをしない人だということがわかると思います。気分が天候やその時の状況によって影響を受けやすく、先のことを考えていないのです。それを自分に素直と思うか、社会的にみていかんなーと思うかは、人それぞれの価値観だと思うのですが、アマゾンのカスタマレビューを見てみると、英雄あつかいする人から、単なるプッツン扱いする人まで様々に意見が分かれています。

お暇な方はこちらからドウゾ。

わたしの意見としてはムルソーは英雄でもなければ、単なるプッツンでもありません。むしろごく普通の人のように感じます。惹かれる部分もあれば、ついてゆけない部分もあるのですが。
原題のタイトル「L'étranger」を形容詞のétrangerで仏和(ロワイヤル中辞典)で引くといろいろな意味が出ています。①外国の、②よそ者の、③未知の、④関係のない、⑤通じていない、⑥異質の、なんとなくわたしは④関係のない、がムルソーには似合うんじゃないかと思っているのですが、⑥異質の、だって言う人が多そうだなー。
ちなみにムルソーにはちゃんとモデルが存在しているってことご存知ですか? カミュは自身のパーティで招待していたボーヴォワールにそっとその人物を教えたそうです。それは無名の男で、パーティでも始終無言でいたそうです。カミュはその男をイメージしてムルソーを作り上げたらしいのです。わたしはそれまで、カミュ=ムルソー、のように思っていたので、ちょっとびっくりしました。

・・・長くなりそうなので、ムルソーについてはまたの機会にくわしく話せたらと思います。今日も長々とありがとうございました。

2005年08月08日 | 「異邦人」を読む | こめんと 8件 | とらば 0件 | とっぷ

コメント

今や…

アルジェリアは、いまやイスラム原理主義者の活動が活発な国となってしまい、観光で訪れることもままならぬ状態となり残念です。文学作品の中に登場する”アルジェ”には特別な響きがあり、当時のアルジェに行ってみたくなります。

今日の私のブログの中で、お気に入りのブログの一つとして、こちらをご紹介させていただきました。

2005年08月08日 / オルサ #-URL編集

異の人

はどうでしょう。私の敬愛する筒美京平を酒井正利が称しています。ちょっと長いですが
引用します。

「異の人」
異国、異郷、異彩、異色、異能・・・・・・。
「筒美京平」を想うとき、なぜかこのような「異」を纏うことばが浮かぶ。
(中略)
例えば「異郷」とは、ふるさとから遠く離れた地、郷と異なる地にいることを意味している。だが、私たちがこのことば「異郷」を思うとき、ふるさとはその現実の距離を越えて心のなかに鮮明に映し出されている。そんな意味を込めて、筒美京平さんを「異の人」、と思う。

筒美京平は神経質でとっつきは悪いが話すと距離感がなくなっていく…実は普通の人で安心したという意味だと思います。

2005年08月08日 / ドラム小僧 #-URL【編集

オルサ さんへ

うーん、文学作品やなんかの世界と現実のギャップというのはもちろんフランスにもあります。わたしがはじめて行った11年前のパリは街が全体的に黒ずんでいて、ヌーヴェルヴァーグのフィルムで観たパリのトーンみたいだったけど、現在のパリは世界中の人々が暮らし、移民問題がどうの・・・とやってて、新しい都市を目指しているのにピントがずれているような印象があります。街も白くきれいになりすぎちゃって、リアルなパリと幻想のパリの二つが存在しているかのようで、かなり文句を言いたい街のひとつです。60年代のサン・ジェルマン・デ・プレに行ってみたいですー!!
オルサさんは地中海文化に大変興味があるそうですね。わたしも、ぐるりと周辺の国を回ってみたいです。食べ物もおいしいし♪ なんともいえない魅力を感じます。
そしてブログで紹介、ありがとうございました。辛口(?)なオルサさんに紹介されてうれしいわー。

2005年08月08日 / しゃるろっと #-URL【編集

ドラム小僧さんへ

「異郷」を思うとき、ふるさとはその現実の距離を越えて心のなかに鮮明に映し出されている・・・というフレーズから、このあいだブログでネタにした「田園に死す」を思い出しました。(関係ないか・・・)
「異の人」筒美京平は昨今のカリスマ・ブームがどうの、というのではないカリスマ性のある方なんでしょうね。結構、普通の人っていうのがクセモノなんだな・・・。

2005年08月08日 / しゃるろっと #-URL【編集

矢野(旧姓:鈴木)顕子好きなしゃるろっとさんはご存知だと思いますが、彼女はザリバというグループでデビューしシングルを1枚だけ出しました。作曲は筒美京平、編曲は後の夫矢野誠でした。京平先生とアッコちゃんの共通点は青学高等部。以外と親交があるようです。どちらも「異の人」です。

2005年08月08日 / ドラム小僧 #-URL【編集

知りませんって。

いやー、わたしは矢野顕子は最初の頃のアルバムもあんまり知らないのですよ。ザリバって知りませんよ(笑)。ところで以前行きたいって書いた美唄のアルテビアッツァに彼女が出前コンサートにくるそうです! すごい!! わたしが千葉で出前コンサートに行ったのは、なんと今から四捨五入すると20年前!!
以前NHKの番組で彼女のニューヨークの生活ぶりを観たけど、暮らしているアパート、すっごくインテリアのセンスがよかったわ。朝のチャイナタウンを散歩する姿とかよかったわー。郊外にあるスタジオもいい感じで。
青学高等部、確か彼女は卒業してませんよね?

2005年08月08日 / しゃるろっと #-URL【編集

そう。風太ができちゃったからかな?9月2日に出前があるってHPで見ました。ところで
最近夜型ですね。お体にはお気をつけください。私はこのへんで。

2005年08月09日 / ドラム小僧 #-URL【編集

夜型

・・・前から夜型ですよん♪
美雨は元気かしら。(レス不要よ。言ってみただけ)

2005年08月09日 / しゃるろっと #-URL【編集

コメントの投稿



管理者にだけ見せる

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。