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もう一人の隣人

いやぁ、なんだか最近春めいてきました。ここんとこスカッと青空のいい天気が続いているし、今年もわたしの部屋の大きな鉢植えの椰子の木が黄色い花を咲かせました。
春ですねぇ。このブログも気づいたら50000アクセスを超えていました! もともとこのブログのメイン企画である「アレ」をそろそろ更新しなくちゃね。「異邦人」ですよっ。なんとなく最近、このカテゴリーだけ浮いているような気がするのは、気のせい。気のせい。。。

さて、お話は仕事から帰宅したムルソーが、犬を散歩させている隣人のサラマノ老人とすれ違い、別れたところからです・・・

Juste à ce moment est entré mon deuxième voisin de palier.

ちょうどこのとき、同じ階のもう一人の隣人が入ってきた。

ここでmon deuxième voisin 二番目の隣人や、二人目の隣人としないで、もう一人の隣人と訳したところが面白いと思いました。

Dans le quartier, on dit qu'il vit des femmes.

界隈では、女を食い物にしているという。

vivre des femme、直訳調では女で生きる女を食い物にしていると訳されています。お話の上では、このもう一人の隣人、レエモンはアラブ系の情婦を養っていて、その関係で後にムルソーのアラブ人への発砲事件へと繋がるのですが。。。

出会いがしらにレエモンに夕食を誘われ、ムルソーは彼の部屋に入ります。そこでレエモンは手に包帯を巻きはじめます・・・

Je lui demandé ce qu'il avait. Il m'a dit qu'il avait eu une bagarre avec un type qui lui cherchait des histoires.

どうしたのかと私がいうと、彼に因縁をつけた奴と喧嘩をやった、と彼はいった。

ここで、と訳されているtypeは映画などでたまにみかける表現で、話し言葉で男性のことを意味します。ちょっと見下したニュアンスがあるので、好ましく思わない男性のことをいうときに使ったりします。
あと、因縁をつけたと訳されているchercher des histoires、ここで使われている名詞のhistoireもめごと厄介ごとというニュアンスです。

ムルソーを相手に喧嘩の様子を一通り語り、同意を求めると、レエモンはひとまず満足したようです・・・
Il a sorti du boudin, il l'a fait cuire à la poêle, et il a installé des verres, des assiettes, des couverts et deux bouteilles de vin.

彼は腸詰を出してきて、ストーブで焼き、コップ、皿、フォークの類とブトウ酒二本を並べた。

このフレーズのなかには、実は以前「異邦人」で検索していたときにみつけた2ちゃんねるで、誤訳だと話題になっていた部分があるのですが、わかりますか?
なんてことない文なのでそのままサラリと読んでしまって、わたしも今回気づいたのですが、ここでストーブと訳されているのはla poêleなのですが、これって実はフライパンのことなのでは? 同じ単語のpoêleでも、男性形と女性形の二種類があって、この場合は女性形なのでフライパンのことです。誤って男性形の意味で訳されているようです☆ 
なぜ、真夏の暑いアルジェにストーブが部屋にあるんだ?と2ちゃんねるでも突っ込まれているのをみました。なるほど、そうだなーと思って今回見てみたら、やはり、この部分は間違いのようです☆
このフレーズの最初の部分は、彼は腸詰を出してきて、フライパンで焼き・・・だと思います。

ううむ。わたしの持っている文庫の「異邦人」は平成11年改定のものなのですが、その後もこの部分は同じなのでしょうか。窪田さんの名訳にもこんなミスがあろうとは驚きました。
フランス語の名詞には男性名詞と女性名詞の両方を使えて、それぞれ違う意味を持つ名詞が幾つかあります。以前、鳥取絹子さんの訳に突っ込みを入れた前記事で出てきたmoralもそうです。
男性形と女性形で異なる意味を持っているので、性を間違って訳すとヘンテコなことになったりします☆ ま、鳥取さんのことはここでは置いておきますが。。。

それにしても、ムルソーを取り巻く人々、意外と濃いキャラが多いですね。主人公が一番淡々としていないか? そして彼って、来るものは拒まない人なのね。

2006年02月22日 | 「異邦人」を読む | こめんと 2件 | とらば 0件 | とっぷ

人間の方は憎悪をもって

ううむ。いろいろと書きたいことが溜まってきた今日この頃。記事を書くのが追いつかないのですが、「異邦人」を読むことにします。この原書に最近、「星の王子さま」のプロジェクトでのわたくしの師匠、uwabamiさんも手を染めたらしい。ぼちぼち更新しなくちゃね♪

今日、やろうとしている部分(1部の3章の途中)は汚い言葉が出てきたり、乱暴な表現が多いので、そういう言葉はなるべく省いてお送りしょうと思います。まぁ、覚えちゃいけないような表現に限って、すぐ覚えちゃったりするのですが(笑)。

今日はムルソーの隣人、サラマノ老人と長年連れ添っている犬との描写からです・・・

On peut les voir le long de la rue de Lyon, le chien tirant l'homme jusqu'à ce que le vieux Salamano bute.

ひとはリヨン街に沿ってこの二人の姿を見ることができる。犬が人間を引っぱっている。時にはサラマノ老人がつまづいてしまう。

この文章、時には・・・と訳されているjusqu'à・・・の部分、普通に読むと、~するまでになると思うのですが。この訳では犬に引っぱられている老人がつまづくこともあるといったニュアンスで、犬がぐいぐいと、つまづくほどまで引っぱっているという感じではありませんね。原文の方が犬の強引な感じが出ているかなと思いました。訳文の方がソフトな感じの解釈ですね。

Il bat son chien alors et il l'insulte.

すると、老人は犬を打ち、ののしる。

ここでは動詞のbattre打つと訳していますが、そうすると鞭かなにかでピシピシやっているようなイメージを浮かべてしまったのですが、これはたたくとか、ぶつという言葉のほうがいいような気もするんですが。。。こちらは和訳の方が残酷になっていますね。

Le chien rampe de frayeur et se laisse traîner.

犬はおじけて、はいつくばい、ずるずると引きづられる。

ここで、おじけると訳されている名詞のfrayeurは仏和を引くと、(突然の激しい)恐怖恐れと載っていました。原文の方が犬がビクっとする様子が出ていると思いました。

老人と犬は何度も引きづったり、引きづられたりを繰り返し、しまいにはそれすらやめてしまいます・・・

Alors, ils restent tous les deux sur le trottoir et ils se regardent, le chien avec terreur, l'homme avec haine.

そういうとき、二人は歩道に立ちどまって、互いに顔をながめ合う、犬の方は恐怖をもって、人間の方は憎悪をもって。

ここで面白いと思ったのは、avecの訳し方ですね。~をもって、という表現、日本語としてはちょっと不自然な感じもするのですが、フランス語の味が生きているような感じもします。こういった前置詞の訳し方は、そのひとの癖のようなものもあるのかもしれませんね。

さて、アパートの階段で犬をののしっている老人に出くわしたムルソーは挨拶をしますが、老人はそれに答えません。声を高めて、どうしたのかと再び聞いたムルソーに対して老人はこう答えます・・・

Il est toujours là.

こいつはくたばりもしないんだ。

この訳にはびっくりしました☆ 原文を読むと、こいつはまだここにいるんだ、つまり、こいつはびくともしないんだ、という意味なのかなと思ったので。
ただ、この前の文章でサラマノ老人が犬をののしるセリフが「Charogne」、これはならずもの悪党といったののしり言葉なのですが、動物の死骸という意味もあり、ここではくたばり損ない奴と訳されていたので、そのセリフを生かすために、大胆な訳を試みたのでしょう。

Puis il est parti en tirant la bête qui se laissait traîner sur ses quatre pattes, et gémissait.

それから、彼は動物を引っぱって外へ出た。犬は四肢を踏んばりながら引きづられ、うなっていた。

このフレーズ、最初日本語で読んだとき、なぜ急にここだけ、動物に変わっているんだろうと違和感を覚えました。原文をみるとここだけ、いままでle chienだったのにla bêteになっています。フランス語の文章は同じ名詞を繰り返すのを嫌うので、別に言い換えなくてもいいようなときにまで、わざわざ別な言葉に言い換えるという特性があるのですが、この場合はla bêteをわざと使うことによって、野蛮な効果を出しているのかなと思いました。
このフレーズ、フランス語ではla bêteだけなのに、和訳では動物と二種類の呼び方が出てしまいましたね。この部分は日本語では、なんともいえない奇妙な味が出ています。

それにしてもムルソーの隣人は強烈ですね(笑)。次回はもっと強烈なもうひとりの隣人が登場します。わたしの突っ込みどころのキャラですね。

それでは、おやすみなさーい☆

2006年02月09日 | 「異邦人」を読む | こめんと 0件 | とらば 0件 | とっぷ

同族みたいな様子

「異邦人」を読みます。今日はムルソーと同僚のエマニュエルが、お昼を食べにいきつけのセレストの店に着いたところからです。

セレストはムルソーに声をかけます・・・

Il m'a demandé si 《 ça allait quand même 》.

「どうにかいってるかね」と彼は私に尋ねた。

ここで使われている動詞のaller行くという意味だと最初に習うものですが、本当にいろいろな意味があります。ここでのaller生活するやっていく、といったニュアンスかな。
この動詞+son cheminで、わが道を行くという意味になるそうです。

その問いに対して、ムルソーは・・・

Je lui ai dit que oui et que j'avais faim.

私はうんといい、腹がへったといった。

セレストはお母さんを亡くしたムルソーに気をつかったのだと思うのですが、肝心のムルソーはそっけなく答えて急いで食事を終えます。彼にとってこの場面は印象に薄いのか、忙しく時間が過ぎていくような描写が続きます・・・

J'ai mangé très vite et j'ai pris du café. Puis je suis rentré chez moi, j'ai dormi un peu parce que j'avais trop bu de vin et,en me réveillant, j'ai eu envie de fumer.

私はいそいで食べ、コーヒーを飲んだ。それから、自分の部屋へ帰った。ブドウ酒を飲み過ぎたので、少し眠った。眼がさめると煙草がほしかった。

たたみかけるような文章ですが、なにか自分も仏作文の練習にと書いた日記もこんな感じだったような(笑)。
ムルソーにとってはいつもと同じような日常のひとこまが、淡々とあわただしく過ぎていく感じなのでしょうね。こんな感じで職場に戻り、その日の午後の仕事の描写も淡々としたものです・・・

J'ai travaillé tout l'après-midi. Il faisait très chaud dans le bureau et le soir, en sortant, j'ai été heureux de revenir en marchant lentement le long des quais.

私は午後ずっと働いた。事務所では大層暑かった。夕方、表へ出て、岸に沿ってゆっくりと帰るのが愉しかった。

ここで愉しいと訳されているheureux+de+原型は仏和を引くと~でうれしい~を喜んでいるといった訳語が載っていますが、この場合の愉しいという感じ、heureuxを用いることによって、ほのぼのとした雰囲気が伝わってきますね・・・

Le ciel était vert, je me sentais content.

空が緑で、愉快に感じた。

空が緑?
これは仏和を引くと、形容詞のvert緑色のほかに青いという意味が載っていました(笑)。青ざめたという意味で顔色が悪いときなどにも使えるのだそうです。そのほかにも顔色が蒼白といいたときには、もちろん、という意味のbleuも使えますし、blancも同様に使えます。
この空が緑で、愉快に感じた。というフレーズは感じが掴みにくいような・・・ムルソー、イっちゃってるみたいじゃないか!?

さてさて自分のアパートに着いたムルソーは、階段で隣人のサラマノ老人に出会います。老人が連れている皮膚病にかかったスパニエル犬と、その犬にそっくりな老人のことをムルソーはこうたとえています・・・

Ils ont l'air de la même race et pourtant ils se détestent.

彼らは同族みたいな様子だか、互いに憎み合っている。

このraceという名詞は、人種民族といった意味から、一族家系、それから種類品種仲間にいたるまで広い意味がありますが、特に人種についていう場合は、差別的なニュアンスを含むことがあるそうなので、使わないほうが無難かもしれません。

ところで、今日も窪田啓介氏の訳でひととおり読み比べてみましたが、以前から気になっている中村光夫さん訳のほう、まだ読んでないのですが、このかた著作多数ですねー。
どうも、この雪の中、てくてくと図書館まで歩いていくパワーのないわたくしをお許しください☆ 
さよならーっ。

2006年01月29日 | 「異邦人」を読む | こめんと 10件 | とらば 0件 | とっぷ

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